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論文:Adjuvant Nivolumab in Resected Esophageal or Gastroesophageal Junction Cancer

発行年:2021年 The New England Journal of Medicine

PMID:33789008

食道癌または食道胃接合部癌に対して術前化学放射線療法+手術を受けた後の再発リスクが高い患者に対する術後補助療法は確立されていない。局所進行食道癌もしくは食道胃接合部癌に対して、術後補助療法としてのニボルマブの有効性と安全性を検証した、多施設国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を行った。II /III 期の食道癌または食道胃接合部癌を術前化学放射線療法後に切除し(R0)、病理学的検査で残存病変を認めた成人(non p-CR)を,ニボルマブ投与群532例と、プラセボ投与群262例に 2:1 の割合で無作為に割り付けた。試験の介入期間は最長 1 年間とした。主要評価項目はDisease-free survivalとした。Disease-free survival の中央値は,ニボルマブ投与群 532 例では22.4 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 16.6~34.0)であったのに対し、プラセボ投与群 262 例では 11.0 ヵ月(95% CI 8.3~14.3)であった。事前に規定した複数のサブグループにおいても, Disease-free survival はニボルマブのほうが良好であった。また実薬またはプラセボに関連すると判断されたグレード 3 または 4 の有害事象は,ニボルマブ群の 532 例中 71 例(13%)とプラセボ群の 260 例中 15 例(6%)に発現した。有害事象のために、ニボルマブ群の 9%とプラセボ群の 3%で試験レジメンが中止された。

Take home message :食道癌または食道胃接合部癌を術前化学放射線療法後に切除した患者のうち、術後補助療法としてニボルマブを投与した患者では、プラセボを投与した患者よりもDisease-free survival が有意に長かった。

2021年8月25日 初期臨床研修医 桑江一希 先生

論文:Pancreaticojejunostomy With Externalized Stent vs Pancreaticogastrostomy With Externalized Stent for Patients With High-Risk Pancreatic Anastomosis A Single-Center, Phase 3, Randomized Clinical Trial

JAMA Surg. 2020;155(4):313-321. doi:10.1001/jamasurg.2019.6035

選んだ理由:第一外科・肝胆膵グループで研修する中で、膵頭十二指腸切除術の術後合併症として膵液瘻が最も重要であり、術後経過に影響を与えるということを学び、関連する直近の論文を検索した。

Take home message:膵頭部腫瘍の治療として行われる膵頭十二指腸切除術は高難度手術であり、その合併症管理が術後経過において重要となる。中でも膵液瘻は腹腔内出血や腹腔内膿瘍を引き起こす重篤な合併症である。本論文は術後膵液瘻のリスク層別化を行い、これまでの研究では明確ではなかった、ハイリスク患者における再建術として膵空腸吻合術と膵胃吻合術のどちらがより術後膵液瘻予防に繋がるかを比較検討している。

2021年8月25日 初期臨床研修医 比嘉リキ 先生

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