医学部医学科1年生が生体肝移植手術を見学しました
4月に入学したばかりの医学部医学科1年生のうち、希望者10名が当科の生体肝移植手術を見学しました。男女5名ずつのグループに分け、それぞれ2時間程度としました。全員手術室に入るのは初めてでしたので事前にオリエンテーションを行い、当日は主に手術室内のモニターを観つつ担当医や先輩の臨床実習生(5・6年生)に色々と教えてもらいながらの見学でした。これから医師になるための勉強を進めるにあたり、とても貴重な体験であったようです。以下は参加者からの感想です。
●今日は貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。結局最後まで見学させていただきました。本当に知らないことがたくさんあったけど、多くのことを学ぶことができました。医学部に入って本当に良かったと思える経験でした。ありがとうございました。また可能であれば、手術見学をさせていただけると幸いです。今日は本当に貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
●お世話になっております。先日手術見学をさせて頂いた医学科1年のMWです。先日は、生体肝移植の手術見学をさせてくださり、本当にありがとうございました。今まで生きている臓器も手術もテレビでしか見たことがなかったので、実際に現場に立ち会ってその様子を見るという非常に貴重な体験ができて嬉しかったです。知識不足の為、どのような処置が行われているのかはわからない部分も多かったですが、先生が手術中に電気メスで切断した細かい部分を縫合されている時、手が全くブレなかったことがとくに印象に残っています。また、長丁場の手術中、手術に真剣に向き合いながらも時折実習中の先輩を気にかけていらしたり、隣の手術室の進捗具合を確認されたりと、手術全体を把握していらしたのが本当に凄いと思いました。私はまだ将来専攻する診療科を決めていませんが、この手術を見て、外科、そして麻酔科の領域により興味を持てたと思います。加えて、実際に手術をしている先生方や、周りで器具をとったりレントゲンの用意をしている先生方の姿、そして真剣に実習に臨まれる5年の先輩方の姿を見て、身が引き締まる思いがしました。この経験を糧に、今後も勉学に励みたいと思います。この度は、貴重な経験を本当にありがとうございました。
●⼿術室に⼊る前、私たち5⼈はまず第⼀外科の医局に伺い、K先⽣に来ていただいて⼿術室に向かった。その時、私はドキドキとワクワクと緊張感が混ざった、 なんとも⾔えない⼼境だった。外科⼿術にとても興味のある私は、その憧れの先⽣ たちが働いている⼿術室に実際に⼊って、同じフロアで⾒学をさせていただける、 ということで本当にワクワクしていた。 実際に⼿術室に⼊って、5年⽣や6年⽣の先輩や医師の先⽣⽅にさまざまな質問を して、今どのようなことをしているかということや、初めてみる実際の組織や肝 臓、胆嚢について教えていただいた。午前中に⼿術を⾒ていてとても印象的だった ことは⼆つある。⼀つ⽬は脂肪がとても⻩⾊かったことだ。脂肪が⻩⾊いというの は聞いたことがあったが、私はクリーム⾊くらいの⻩⾊をイメージしていた。しか し実際は本当に⻩⾊で、とても驚いた。⼆つ⽬は、胆嚢を取り除いても⽀障はない ということだ。私は、胆嚢は消化液を貯蔵する場所ではあるものの、他の消化器と 同じようにとても重要な臓器なのだと勝⼿に思い込んでいた。しかし、先輩に胆嚢 はなくても⼤丈夫だから今切除していると聞いた時はとても驚いた。 昼休みと2コマの授業を挟んで午後4時にまた⼿術⾒学を再び⾏わせていただいた。この間に朝に分からなかった肝臓付近の解剖学的知識を調べて、午後の⾒学に 臨んだ。そうすることで午前中と⽐べ、先⽣⽅や先輩の⾔っていることがより理解 できるようになった。 私が⼿術室に⼊った時は、すでにドナーからレシピエントに肝臓が移された後であった。しかし、まだ⾨脈の再建は⾏われていなかったので⾎流が通っておらず、肝 臓はまだ⽩かった。⾎管の再建⼿術が始まったときにまず静脈から⾏われた。なぜ か聞いたところ、⾎液の出⼝を確保するためとのことであった。聞いたら当たり前 だが、私は⼀つ⼀つの順番までよく考えられていて本当にすごいなと感じた。静脈 の再建の後に⾏われた⾨脈と動脈の再建の光景も印象に残った。私は勝⼿に動脈と ⾔うくらいだから⼀番太い⾎管であると勝⼿に想像していた。しかし実際は⼀番細 く、⾁眼ではなく顕微鏡を使って⼿術が⾏われていた。また、⾨脈の太さにもとて も驚いた。送られる⾎流量は⾨脈の⽅が2倍以上動脈と⽐べて多いと聞いた時は、 肝臓には⼩腸からさまざまな栄養を届けられていて、肝臓にそれらが貯蔵されてい ると⾼校で習った知識が仕組みも合わせて理解できてとても印象に残った。最後の ⽪膚の縫合の仕上げの際、ホッチキスのようなもので⽌め、その上に透明なテープ を貼っていたのも印象的だった。患者が気にならないのか、と研修医の先⽣に聞い たところ、何かが滲み出てきたりした時にすぐに⾒ることができるように透明なテ ープを貼っている、ということを説明していただいた。また、お腹からチューブを ⼊れて⼀部を出しているのも、出⾎などが起こっていないかを確認するためのもの である、ということも教えていただいた。このように⾃分の疑問に対して理由を丁 寧に教えていただき、どうしてそのようなことをやるのかを含めて理解できたのが とても⼤きな学びになったと考える。 ⼿術が終わった後、標本にする肝臓を触らせていただいた瞬間は⼀⽣忘れないと思う。⾒学に来ただけのつもりだったので、⼈の臓器を実際に触らせていただけると は思っていなかったので、本当に嬉しかった。触ってみたところ、⼿術中に⾒た移 植した肝臓と⽐べ、輪ゴムで作ったボールのような硬さと弾⼒があったように感じ た。また、4つに切った後の⼀つだったが、想像していたより重みがあった。ま た、肝臓の断⾯は表⾯と違い⿊茶⾊なのも驚いた。 本当に夢のような時間だった。⼿術室に⼊りたいという夢が叶った瞬間でもあっ た。正直⼿術を⾒て倒れる⼈がいるという話を何度も聞いていたので、少し⼼配だ ったが、そうなることもなく⾒学を終えることができたのも良かった。医学部に⼊って良かった、と感じることのできた最初の瞬間だった。また⼿術⾒学に参加したい。
当科では随時手術見学の希望を受け付けておりますので、ご希望の方はいつでも気軽にご連絡ください。