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 年明けに開院した新病院で初の生体肝移植(36例目)が行われ、医学科1年生が見学しました。これで、1年生の見学は述べ25名(!)となります。特に1年生はまだ移転前で上原キャンパスで勉強中のため、無理をしないように伝えていますが、学業の合間を縫って来てくれました。以下は感想ですが、彼らのモチベーションに、こちらも大変刺激を受けています。

N君
 この度、教授の執刀による肝臓生体移植手術を見学させていただき、誠にありがとうございました。医学部1年生として、今回で2回目の手術見学となりましたが、1回目とは異なり、解剖学の基礎知識を習得しているおかげで、手術の進行や構造についてなんとなくではありますが理解できた点が大変勉強になりました。特に、カントリー線という言葉に触れたことは非常に印象的でした。解剖学の授業では耳にすることのなかった用語でしたが、現場ではよく使われているということに驚きました。このような経験を一年生の内にできたのは非常に光栄です。また、長時間にわたる繊細な手術を執刀される中、私たち学生にも昼食休憩の時間を設けてくださり、さらに昼食代までご負担いただき、本当にありがとうございました。まだ知識も経験も乏しい私ですが、教授の背中を見て、今後の学びに一層励んでいこうと決意を新たにしました。貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

F君
 後期の解剖が終わり、 自分の学んだ知識が臨床の場においてどのように役立つのかと思っていた時に頂いたこの生体肝移植の手術見学の機会は、きっと自分の学びをさらに推し進めるためになるものだと思い参加を決めました。当日、 手術室に入ると、 しかし思っていたほど深刻な空気ではありませんでした。 もっとも学生が見学に来るため務めて明るく振舞っていたのか、 緊急の事態が発生しない限りは穏やかに進むのかわかりませんが、ともかく生まれて初めて手術というものを見た身としても独特な空気感は感じ取れました。 それは油断とも緊張とも違う、 しかし手術特有のものと感じられました。手術が始まると、 自身の学んだ知識、 つまり解剖学と実際の外科手術との違いを見せつけられることとなりました。 当然ですが、 解剖はご検体を隅々まで解剖し人体を知るためのものであり、 初めから戻すことは考えられていません。 しかし、 外科において患者さんは生きているし、 ただ生かすだけでなく負担を最小限に抑え、 術後の傷跡を最小限にして、 と全く根本にあるものの違いに気づかされました。そういった点では自分が全くの無知であることを知りました。また、実際に最小限の傷で開き、出血を抑え、そうして出来るスペースは最小限のものであり、 その中で管を探り出したり、 つないだりを行わなくてはならない。 当然であるはずのそれがまったく頭から抜け落ちていたことに机上の空論で語っていたことを自覚し、また現代にいたるまで試行錯誤を繰り返して医学を洗練されたものにした先人への敬意を抱きました。手術の内容は私でも全く理解できないものではなく、解剖学と生理学と私の学んできたもので多くが理解できること、さらには外科的な技術やバイタルの管理などそれ以上を含めて成り立っていること、 根本的に患者さんの状況判断に必要な知識などがまだまだ不足していることを目の当たりにして自身の勉強の成果と更なる勉強の必要性を感じ、今回の見学はモチベーション的な意味で大きな役割を果たしてくれたと思います 。実際、何もかもを勉強する前に見学に来たところで全く浅い理解しかできなかったと思いますし、これから更に勉強を重ねていくことで今回の手術見学では目に留まらなかったような点も意味を持つようになるのでしょう。結局先輩方と一緒に手術の最後まで見学させてもらいましたが、1年生だからと邪険にせず途中で質問を受けてくれた先輩方には感謝しています 。 手当たり次第に質問をしたので困らせた部分もあるかと思いますが、自分が先輩方の立場で手術見学に来た後輩を見るようになった時には、どんな質問が来てもこたえられるように勉強したいと思います 。最後に、 やはり医学部の勉強は大変で、 しかも直感的に内容のイメージが難しく思われ、 自分が何を必死に学んでいるのか分からなくなることがあります 。 なので、 まだ一年生では臨床には早いと思われるかもしれませんが、 実際こうして臨床に触れる機会を与えていただくことで、 明確な道筋を示してもらえることに意味はあると考えており、 こうした見学などを続けていただきたく思います 。

 引き続き、生体肝移植だけでなく手術に興味のある学生の見学は随時受け付けておりますので、いつでもご連絡ください。

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