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2月上旬に琉球大学で実施した大腸癌手術の際に、札幌医科大学(消化器・総合、乳腺・内分泌外科)の竹政伊知朗教授とアノテーション技術(通信による手術映像モニター上での描画を用いた指導技術)の実用化後、国内初のリアルタイム遠隔手術支援を実施しました。

従来の学会やセミナーへの参加、手術見学や手術支援の際には医師が現地に移動して行われていましたが、コロナ禍では医師の移動も制限を受け、このような機会が非常に少なくなっていました。特に現地で手術を直接見ながら学ぶ機会が減ってしまったことは私たち外科医にとっては大きなストレスになっています。

今回のシステムは、コロナ禍においてもアノテーション技術を用いて手術支援を可能にする最先端技術です。

腹腔鏡手術では術者が内視鏡カメラからの映像をもとに手術をおこないますが、このアノテーション技術ではサブモニター上で描画や音声により、遠隔地からでもリアルタイムに手術支援を受けることができます。

これまでのアノテーション技術の問題点として、映像の通信遅延がありましたが、札幌医科大学が中心となって実施してきた実証研究の成果により、通信遅延が解決され、今回、遠隔地をつなぐ初めての実用化につながりました。今回のリアルタイム遠隔手術支援は日本国内の最両端の北海道と沖縄県をむすぶ長距離での実施でしたが、手術中は全く映像遅延を感じませんでした。

この技術は将来的には学生教育、若手外科医や女性外科医のキャリアサポートにも強力なツールになると思われ、さらに島嶼地域である沖縄県において、どの地域でも格差のない治療が受けられるようになることが期待されます。

また、準備から実施までの過程で、札幌医科大学の先生方ともオンライン上にもかかわらず、深く交流もできましたので大変有意義でした。最先端の技術で日本の南北をつなぐ手術支援であったのみならず、外科医の志もつなぐ大変よい機会になりました。

下部消化管グループ 金城達也

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