肥満大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術の腫瘍学的安全性を評価する後ろ向き試験
1.研究の名称
肥満大腸癌患者に対する腹腔鏡下手術の腫瘍学的安全性を評価する後ろ向き試験
2.研究の対象
この研究は以下の方を研究対象としています。
2009年1月~2013年12月に当院で大腸癌の手術を受けられた方
3.研究の目的及び意義
【背景及び意義】
本研究では、肥満患者さんに対する腹腔鏡下手術の短期(手術時間や合併症など)、及び長期(長期予後)成績について、過去に手術が行われた患者さんを対象として、データ解析を行い、肥満患者さんに対する腹腔鏡下手術の安全性について検討します。
大腸癌に対する腹腔鏡下手術の治療成績は肥満/非肥満群間で差はないとする報告が多いものの、直腸癌では短期成績に関するデータは一定の見解はなく、長期成績に関してはデータが不十分です。
JCOG0404(進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術の根治性に関するランダム化比較試験)では、副次的解析にて、肥満患者さん(BMI25 (kg/㎡)以上)に対する腹腔鏡群が開腹群に比べて有意に予後が悪い可能性があることが示されました。しかし高度肥満患者さん(BMI30 (kg/㎡)以上)はほとんど存在しなかったこと、不十分な症例数により再発形式等の詳細な検討が行えなかったことから、高度肥満患者さんを含めたさらなる大規模な解析が必要と考えられました。今回の研究では腹腔鏡下大腸切除研究会参加施設で受診された患者さんを対象として、より大規模な解析を計画しています。なお、解析は結腸癌/直腸癌に分けて行うこととしています。
【目的】
本研究では、肥満患者さんに対する腹腔鏡下手術の短期、及び長期成績について、患者さんの過去のカルテ情報を元にデータ収集・解析を行い、肥満患者さんに対する腹腔鏡下手術の腫瘍学的安全性について検討することを目的としています。
4.研究方法及び期間
【研究方法】
この研究への参加登録施設において対象期間中に手術が行われ、条件に適合する患者さんの臨床データが、この研究の事務局である大分大学に集められ、大分大学より統計解析を担当する久留米大学へデータを送ります。送られたデータは以下の評価・解析方法で解析を行います。
BMI<25 (kg/㎡)患者さんを対象とし、腹腔鏡下手術を受けた患者さんの群と、開腹手術を受けた患者さんの群とをより偏りなく比較するためにPropensity scoreを用いた解析を行い、両群の治療成績を比較検討します。Propensity scoreの算出には年齢,性別,BMI,併存症の有無,病理学的深達度、リンパ節転移有無などの背景因子を用います。腹腔鏡手術群のみで得られるデータ(開腹移行の有無)は、先行し解析終了したJCOG0404(進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術の根治性に関するランダム化比較試験)という研究の登録データのうち腹腔鏡群、BMI<25 (kg/㎡)のデータと比較します。
【研究期間】
倫理委員会承認日から2019年12月31日まで
5.使用させていただく情報について
本院におきまして、既に大腸癌の手術を受けられた患者さんの臨床情報(情報)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。患者さんの診療記録より、年齢、性別など(情報:下記※1,参照)を収集し、この研究に使用させて頂きます。なお患者さんの診療記録(情報)を使用させていただきますことは琉球大学倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認され、琉球大学医学系研究倫理審査委員会の承認を得ています。また、患者さんの診療情報は、国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
※1 年齢、性別、検査データ、いままでにかかったことのある病気、手術の内容、併発症(手術が原因となって起こる別の病気のこと)、入院期間、手術後の経過・再発に関する情報、併存症(高血圧、糖尿病、脳血管疾患、呼吸器疾患、循環器疾患)の有無について
6.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
この研究に参加していただくにあたり、新たな侵襲(新しく傷をつけたり、採血したり)はなく、金銭的な負担も発生しません。この研究に参加し、大腸がんの手術成績の改善につながれば社会への貢献も非常に大きいものと考えられます。
7.遺伝的特徴に関する重要な知見
この研究では遺伝子に関わる研究ではないため、該当しません。
8.健康被害に対する補償および賠償
この研究による患者さんへの新たな侵襲(新しく傷をつけたり、採血したり)はありませんので補償及び賠償もありません。
9.研究への参加は自由であること
この研究へ参加するかどうかはあなたの自由です。また,一度参加すると決めた場合でも,いつでも撤回することができます。同意されなくても,研究対象者等が不利益な取り扱いを受けることはなく,当院では同じように最善の医療を提供いたします。
ただし,同意を取り消した時すでに研究結果が論文などで公表されている場合のように,研究結果からあなたを外すことが出来ない場合があります。
10.個人情報等の取扱い
【匿名化の方法】
提供者の氏名を記号などに置き換えて、提供者の氏名が識別できないようにする匿名化を行います。ただし、必要な場合には提供者の特定が出来るよう、記号とその提供者の氏名が分かる対応表を保有しますが,この対応表は鍵のかかる金庫で保管します。
【公表の配慮】
この結果はきちんと記録し,学会や医学雑誌に発表されることもありますし, いずれの場合にもあなたのプライバシーに関するすべての秘密を保持することを保証します。
11.試料および情報の保存
【情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む)】
保存方法:本研究に関わるすべての情報は、この研究の論文発表後10年間は大分大学医学部消化器・小児外科学講座のパソコン(インターネットに接続されていない)にパスワードを設定し保存し、その後適切に破棄します。
12.他機関への試料・情報の提供
本研究の統計解析担当施設である久留米大学への患者さんの試料・情報の提供については、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。なお、久留米大学へ提供する際は、研究対象者である患者さん個人が特定できないよう、氏名の代わりに記号などへ置き換えますが、この記号から患者さんの氏名が分かる対応表は、琉球大学医学部附属病院第一外科の研究責任者が保管・管理します。なお、取得した試料・情報を提供する際は、記録を作成し琉球大学医学部附属病院第一外科で保管します。また、琉球大学医学部長宛へ提供の届出を行い、提供先へも提供内容がわかる記録を提出します。
試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
琉球大学医学部消化器・腫瘍外科学講座 教授 西巻 正
【試料・情報の取得の経緯】
本研究に必要な情報は診療記録(カルテ)から取得します。
【試料・情報の提供機関・提供者氏名】
下記の研究機関へ提供します。
統計解析責任者 久留米大学バイオ統計センター/
大分大学医学部データセンター非常勤講師 大山 哲司
13.研究資金
本研究は,患者さんのカルテ情報をもとに情報収集する研究ですので、試験期間中に患者さんに費用的負担が発生することはありません。もし、万が一費用が発生した場合には公的な資金である大分大学医学部消化器・小児外科学講座の寄附金を用いて研究を行います。
14.本研究に係る利益相反
本研究は上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭及び個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反」は発生しません。
15.相談等の対応
【相談窓口】
担当者氏名:金城達也(きんじょう たつや)
連 絡 先:琉球大学医学部附属病院 第一外科
電話 098-895-3331(内線1163)
16.取得した試料・情報の将来の研究利用
この研究で取得した試料・情報について将来別の研究に利用することはありません。
17.研究に関する情報公開
ご希望があれば,個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障を来たさない範囲内で,この研究計画の内容を見ることができます。詳しくは上記の相談窓口へお問い合わせください。
18.研究組織
【本学(若しくは本院)における研究組織】
所属・職名 | 氏名 | 経験年数 | |
---|---|---|---|
研究責任者 | 大分大学医学部消化器・小児外科学講座 教授 | 猪股雅史 | 28年 |
研究分担者 | 大分大学医学部附属病院消化器外科 講師 | 衛藤 剛 | 26年 |
大分大学医学部附属病院消化器外科 学内講師 | 白下英史 | 23年 | |
大分大学医学部附属病院小児外科 病院特任助教 | 當寺ヶ盛学 | 22年 | |
大分大学医学部総合外科・地域連携学講座 講師 | 上田貴威 | 21年 | |
大分大学医学部附属病院高度救命救急センター(消化器外科) 助教 | 柴田智隆 | 20年 | |
大分大学医学部消化器・小児外科学講座 助教 | 赤木智徳 | 18年 | |
大分大学医学部附属病院消化器外科 病院特任助教 | 鈴木浩輔 | 18年 | |
大分大学医学部附属病院高度救命救急センター(消化器外科) 助教 | 河野洋平 | 17年 | |
大分大学医学部附属病院高度救命救急センター(消化器外科) 助教 | 平塚孝宏 | 17年 |
【研究全体の実施体制】
研究全体の研究責任者 | NTT東日本関東病院外科 | 中嶋 健太郎 |
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プロトコール委員会 | 横浜新緑総合病院外科 | 齊藤 修治 |
関西労災病院 下部消化管外科 | 賀川 義規 | |
北里大学医学部下部消化管外科 | 中村 隆俊 | |
東北大学消化器外科学 | 大沼 忍 | |
順天堂大学下部消化管外科 | 小島 豊 | |
NTT東日本関東病院外科 | 中嶋 健太郎 | |
アドバイザー | 北里大学医学部外科 | 渡邊 昌彦 |
大阪医療センター下部消化管外科 | 加藤 健志 | |
順天堂大学下部消化管外科 | 坂本 一博 | |
東北大学消化器外科 | 内藤 剛 | |
平塚市民病院 | 山本 聖一郎 | |
大分大学医学部消化器小児外科学講座 | 猪股 雅史 | |
研究事務局 | 大分大学医学部消化器小児外科学講座 | 赤木 智徳 |
大分大学医学部附属病院高度救命救急センター(消化器外科) | 助教 河野 洋平 |
○参加施設 別添の参加施設リストを参照して下さい。