乳腺センター

琉球大学病院 乳腺センターの紹介

乳がんは、女性のがん罹患数では最多であり、現在、女性の9人に1人が乳がんになる時代となっています。なかでも沖縄県は、乳がん罹患率が全国トップクラスであり、乳がんによる死亡率も高いと報告されています。乳がん治療は年々高度化しており、手術だけではなく薬物療法や放射線療法などの治療手段を集学的に用いることが必要となっています。手術においてはがんの根治性のみならず、見た目(整容性)の維持も重要となっており、乳房再建手術などを含めた患者の希望に応じた治療が求められています。また、新しい薬剤の登場により薬物療法の選択肢が広がる一方で、副作用に対する迅速な対応も不可欠となっています。

琉球大学病院乳腺センターは、このようなニーズに応え、2024年9月に新設されました。乳腺外科に加え、形成外科、産科婦人科、放射線科、病理部、薬剤部との連携を強化し、最新のエビデンスに基づいた質の高い医療の提供を目指します。また、地域の病院やクリニックとも連携し、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えます。

乳腺センターと他科の連携

診療について

乳腺センターでは、次の患者さんの診療を受付いたします。

  • 乳がんあるいは乳腺疾患疑いで紹介状をお持ちの方
    紹介元から、予約申込書と紹介状(診療情報提供書)をFAXして予約をお取りください。折り返し対応いたします。(17時以降は翌業務日)
  • 乳がん検診で要精密検査となった方
    紹介元から、予約申込書と要精査通知をFAXして予約を取ってください。紹介元からの予約がない場合は、要精査通知を忘れずにご持参のうえ、外来日の受付時間(午前8時20分~午前11時)内に直接病院にお越しください。(臨時休診日をご確認ください)
  • セカンドオピニオン
    他の病院を受診されている患者さまで、その病院の主治医の了承を得た患者さん本人の受診に限ります。当院への転院につながるものではありません。紹介元からシエントにお問合せいただき、お申込となります。
  • 乳房に関する自覚症状(しこり、乳頭分泌、痛みなど)がある方
    自覚症状があるかたは、紹介状なしでも受診可能ですが、初診時選定療養費7,700円がかかります。外来日に受付時間内に直接病院にお越しください。(臨時休診日をご確認ください)

*他院で乳がん治療のかたはセカンドオピニオンでの受診になります。

お問い合わせ
琉球大学病院 医療福祉支援センター シエント 予約担当
(直通)電話  098-895-1371 FAX  098-895-1498 
(代表)電話  098-895-3331

予約申込書のダウンロード方法

医療福祉支援センター・シエント のホームページで外来紹介患者・初診予約申込書(医科用)をクリックしてください

  外来担当表

 
9:00-12:00時澤    時澤  
13:00-15:00時澤時澤

検査について

1、 画像診断

  • マンモグラフィ
    触診で見つけることのできないような早期の乳がんを発見するのに有用です。乳房をX線で透過することにより、腫瘍・石灰化などを描出することが出来ます。腫瘍や石灰化の形状や分布により、良悪性の判断をすることが出来ます。
  • 乳腺超音波(エコー)
    超音波検査は、若年者など、乳腺濃度の高い乳房(高濃度乳房)であるため、マンモグラフィでは腫瘤を見つけにくいかたに適した検査です。
  • 乳腺MRI
    MRI検査は、強い磁力を利用して画像を撮影する画像検査です。乳腺MRIでは、正常乳腺と病変の部位を区別して、乳がんの診断とひろがりをサポートすることができます。乳腺MRI撮影はうつ伏せの体制でおこないます。造影剤を用いて行いますので喘息があるかたや、大きな音がするため閉所恐怖症があるかたでは施行できないこともあります。
  • CT
    CT検査では、乳がんの乳房内での広がりや、リンパ節転移の有無、肺や肝臓、骨などのへの遠隔転移、他の病気の有無などを検索する事が可能です。
  • PET
    乳がんと診断されたかたで、進行度に応じて行います。また、乳がんの再発と診断されたかたあるいは再発が疑われるかたに行うこともあります。
  • 乳管造影
    乳管造影は、乳頭の異常分泌があり、しこりを発見できない場合に行います。乳管造影では乳管の中に造影剤を注入後にマンモグラフィを撮影して、乳管に異常な箇所がないかを検査します。

2、病理診断

  • 細胞診
    超音波で病変部を確認しながら、 細い針を刺して吸引をおこない、細胞を採取します。
    針は採血と同じくらいの太さで、検査後は通常の日常生活が可能です。
  • 組織診
    細胞診では診断が難しい場合、組織を採取して調べる組織診断を行います。局所麻酔を用いておこない、当日検査後は入浴、激しい運動、アルコールを控えていただいています。
  • 針生検
    細胞診よりはやや太めの針を用いて組織を採取します。
  • 吸引式乳腺生検
    吸引式乳腺生検では、自動吸引装置を備えた太めの針で組織を採取します。より多くの組織を採取する事が可能です。

乳がん治療について

1、手術

  • 乳がんの手術は、しこりを含む乳腺の一部を部分的に切除する乳房温存手術と、しこりを含めて乳房全体を切除する乳房切除術に大別されます。また、術前検査で明らかな腋窩リンパ節の腫大がないかたでは、センチネルリンパ節生検を行なっています。
  • 乳房温存手術(乳腺部分切除術)

乳房温存手術(乳腺部分切除術)(左:手術前、右:手術後)

    

2、乳房再建 

  • 当院は日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の一次再建の「乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施認定施設」です。形成外科と連携して、ティッシュエキスパンダー挿入による一次乳房再建手術を行います。また、自家組織による再建も可能です。
  • 再建を行う場合の乳房切除においては乳頭温存皮下乳腺全摘術や、乳輪温存皮下乳腺全摘術など整容性を考慮した手術も積極的に行っています。


乳頭温存皮下乳腺全摘 (左:手術前、 右:手術後(乳房の外側に切開線を置きます))

3、薬物療法

  • 患者さんごとの乳がんの状態や乳がんの性格(サブタイプ)に応じて、ホルモン(内分泌)療法・化学療法・分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを組み合わせて行います。
  • 血管の確保が難しいかたに対して、ポート留置による血管確保を行っております。当院では主に上腕ポートを用いています。

4、放射線療法

  • 手術後の放射線療法
    温存した乳房や周囲のリンパ節からの再発を防ぐために行います。乳がんに対する手術の目的は目に見えるがんをとりのぞくことで、術後放射線療法の役割は手術で取りきれなかった可能性がある目に見えないがんを根絶することです。
  • 緩和照射
    進行したがんやほかの部位に転移したがんが対象とする緩和照射も行っています。

乳がん治療中のケア

  • リハビリテーション
    乳がん手術による傷の痛みなどにより腕が挙がりにくくなるため、術後早期(入院中)よりリハビリテーション指導を行います。早期にリハビリテーションを実施することで、術後の後遺症を可能な限り予防します。セルフケアに取り組めるよう指導を行います。
  • リンパ浮腫
    術後、浮腫がおきても早期に対応できるよう、スタッフが指導いたします。また、リンパ浮腫が起きた場合のサポートをいたします。
  • アピアランスケア
    がんの治療中は、脱毛や肌の変色、爪の変化、手術による傷、放射線治療による皮膚炎といったさまざまな外見の変化が起こることがあります。このような外見の変化に対する医療者のケアを「アピアランスケア」といいます。

アピアランスケアには、ウィッグ(かつら)を用いたケアから、人間関係などの心理的な悩みに対する
対処まで、さまざまな支援が含まれます。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群について

  • 以下のいずれかに当てはまる場合、BRCA1/2遺伝学的検査が保険適応になっており、当院でも検査が可能です。
  • 45歳以下で乳がんを発症
  • 60歳以下でトリプルネガティブ乳がんを発症
  • 2個以上の乳がんを発症
  • 第3度近親者内(曾祖父母、大おじ、大おば、いとこまでの血縁者)に乳がんまたは卵巣がんまたは膵臓がんのかたが1名以上いる
  • 乳がんを発症された男性
  • 近親者に BRCA1/2 遺伝子変異がある
  • 卵巣がん、卵管がんあるいは腹膜がんを発症
  • PARP阻害薬に対するコンパニオン診断の適格基準を満たす

遺伝性の乳がんに関して必要な情報を説明いたします。十分に理解していただき、お気持ちやお考えの整理したうえで、自らの意思で遺伝子検査を行うかどうかを選んでいただけるようにサポートいたします。

スタッフ

時澤 博美
乳腺センター長 
特命准教授
医学博士

・日本外科学会専門医・指導医
・日本乳癌学会専門医・指導医
・遺伝性腫瘍専門医
・検診マンモグラフィ読影認定医
・乳がん検診超音波判定医認定医
・日本がん治療認定医機構認定医
・日本消化器内視鏡学会専門医
・日本消化器病学会専門医
・日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会施設責任医師

上部消化管グループ

下部消化管グループ

肝胆膵グループ

小児外科グループ

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